ナイキ・エアリバデルチ(Nike Air Revaderchi)は1992年ナイキのアウトドアラインACG(All Conditions Gear)から登場したクロス・トレーニングシューズ。
前年リリースされた「エア・モワブ(air Mowabb)」の続編ともいえるモデルで、クッショニングシステム「エア(air)」と、伸縮素材を使用したインナーソックス「ハラチシステム」を搭載したトレイル・ランニングシューズの名作です。
「リバデルチ」という風変わりなネーミングは、シューズの生みの親でクリエイティブ・デザイナーであったスティーブ・マクドナルド(Steve McDonald)によるジョークということで、旧式のアウトドアシューズに向かって「お先に失礼」というニュアンス。(イタリア語のarrivederci(rivederci)はsee you againの意味)
関連記事:初期ACGはいかにして生まれたのか – スティーブ・マクドナルド氏のインタビューより。
シンセティックレザーとメッシュ素材の軽量ボディーに、マウンテンバイクからインスパイアされたアウトソール。くるぶし部分を包み込むストラップ付きの強化パーツなど、ピンポイントに足を守るハイテク構造が、それまでの(ハイキングブーツなどの)シューズデザインと一線を画しました。
登山系、オフロード系のアウトドアシューズでありながら、その洗練された独特なデザインはストリートアイテムとしてもコアなファンが多く、人気ブランドとの別注モデルや限定カラーが登場するたびに、話題を呼び注目を集める名作スニーカーです。
ナイキ・エアリバデルチ 新作・新色コレクション(amazon)
復刻エアリバデルチ
2018年に突如として原点回帰系のラインナップで登場したナイキのアウトドアラインACG。
パープルやイエローなど当時の色彩にオマージュを捧げた最新アパレル、シューズが展開される中、唯一のオリジナルとして復活したのが、トレイルシューズの名作エアリバデルチです。(国内での正規発売は7月2日にスタート。即完売ということです)
マンチェスターの人気セレクトショップ、オイポロイの製品情報より。
ナイキのアウトドアシューズ、エアリバデルチが入荷いたしました。
アウトドア・カテゴリーACGが、1992年に自由なトレイルシューズとして設計したモデルで、より流線型にスリムになった、エアモワブの弟モデルです。
機能的には、ガッチリしたチャンキーソールを搭載。
アンクル・サポート・システムも非常に素晴らしく、ヒール部分のプル・ストラップも極めて重要な仕様です。
(ドライフルーツやナッツなどが)いろいろ入ったトレイルミックス(登山の行動食)を持参して、大自然へと出かけましょう。
「ワイルド」なシューズ、エアリバデルチ。
発売当時(1992年)アウトドア雑誌に掲載された広告から。
クロストレーニング・シューズの新製品として、雑誌1ページの全面広告で、リバデルチを大きくプロモーションしています。
キャッチコピーは「ナイキ・ワイルド」。アウトドア・スポーツにおけるいろいろな「ワイルド」を例に挙げて、「川の中に靴まんま入っちゃうぜ〜ワイルドだろ」と、リバデルチがいかにワイルドかアピールしています。
ワイルドとは、
うなりを上げて山を下ること。
巨大な岩(ボルダー)をよじ登ること。
川に突入すること。
石や岩だらけの斜面(ガレ場)でレースすること。
断崖絶壁から飛び降りる(クリフダイビングする)こと。エアリバデルチは、あなたの正気を保つ(?)ただひとつのアウトドア・クロストレーニング・シューズです。
オリジナル・エアリバデルチ
神奈川県座間市の古着屋さん、mistermorningstarさんのインスタより。すばらしいコンディションのオリジナルリバデルチ。
アウトドア・アイテムに強くキャンプミーティングも開催されているビンテージ・ショップにぴったりのお宝系セレクトです。
オリジナル・レディースモデル
こちらはレディースサイズのオリジナル・リバデルチ。
配色も異なり、ソックス部分がパープルで縁取りがブラック。
ヒールカウンター+ストラップ部分はグレーです。
北米を拠点にebayでビンテージシューズやアパレルを販売する、nwbnpさんのコレクションから、1990年代初頭のもの。着用した感が全く無い美品で、まさにデッドストック。
ウィメンズ・サイズ 6.5。メイド・イン・コリア。
クロススポーツ・シューズのトップモデル
北米のアウトドア雑誌「スノー・カントリー」1993年5月/6月号
「ハイキング・ブーツのトップモデルは?」特集より。
クロスカントリーのスキーヤーなどアウトドアの専門家が、男女それぞれ3名づつチームを作り、新作シューズをテストするという企画
この企画でエアリバデルチは「クロス・スポーツ部門」において、(特にオフロード系のランニングシューズとしての評価が高く)男性向けモデルのベスト1に輝いています。
シューズのテストを行い、エアリバデルチを選んだ審査員はこの3名
スティーブ・ステンキャンプ氏:35歳。クロスカントリー / アルペンスキーヤー、マウンテンバイカー、ハイカー、探検家。
ポール・トーマスバーグ氏:30歳。マウンテンバイクのライダー。1990年にコロラド州デュランゴで行われた、マウンテンバイク世界選手権の、ダウンヒル競技において銅メダルを獲得。
リッチ・リー氏:41歳。写真家でハイカー、スキーヤー。
エアリバデルチを着用しての専門家の感想は、とにかく軽くて履き心地がいいと、高い評価を得ています。
男性チームからのコメント:
「今回のクロススポーツ・シューズのなかで、一番軽くて最も快適」とスティーブ氏は指摘します。リッチ氏は「感動しました。かかと部分が心地よく、走っていてもいい感じです。」と評価。
ぴったりとしたフィット感が特徴の「ネオプレン」素材による襟(履き口周り)が気に入った、というポール氏は、自転車に適したブーツとしてリバデルチを高く評価しています。
「自転車のトー・クリップへ足を出し入れしやすく、ソールはプラットフォーム・ペダルと相性が抜群です。」
タイプ別/フィット感:
ランニングでの着地の際、足首の重心が外側に傾きがちな方、またニュートラルな方に最適です。靴ひも穴のトップ部からヒールカウンターまでの調整可能なストラップは、踵まわりをしっかりと固定します。
「歴代トップ25モデル」に輝く名作モデル
ニューヨーク発のカルチャーメディア「ハイスノビエティ」
2014年6月に特集された「ナイキACG・歴代トップ25」という企画記事から。
The 25 Best Nike ACG Models of All Time : highsnobiety.com
ナイキのアウトドア・カテゴリ「ACG」から、歴史に残る名作トップ25モデルを選出という魅力的なこの企画。
ここではキングオブ・アウトドアシューズのひとつとして、ナイキ・エアリバデルチを選出しています。
「選考委員長」は、スニーカーの歴史研究家で、スニーカーライターとして知られるゲイリー・ワーネット氏。今は亡きロンドン発の伝説のスニーカー・プロジェクト「クルックド・タンズ」の元メンバーとしても知られる人物です。
ナイキ・エアリバデルチ(1992)
ハラチ・システムはトレイルランニングの世界に一石を投じました。
エアリバデルチは、まさにシューズ史上最も偉大な名前のひとつです。そのことだけでもここで扱う価値のあるモデルであるということですが、デザインを担当したのはスティーブ・マクドナルド氏。クールなネーミングも彼によるものです。
爪先を保護するための特殊構造。ラバーソールはマウンテンバイクからのインスパイアです。
くるぶしを包みこむストラップレースと、岩石から足を守るための隠れたプレートパーツ。
ネオプレン素材でできた「ハラチ」のフィット感と共に、足にぴったりと適合することで、類を見ない形状に仕上っています。さらにメアリー・J. ブライジをサポートしていた頃のグランド・プーバはエアリバデルチを愛用。
当時のスタイルマスターであった彼は、バックパックとポロとのコーディネートによって、アウトドアアイテムという常識を破りました。
また、翌年1993年にはリバデルチから続編がリリース。セカンドバージョンも素晴らしいモデルでした。
関連記事:ゲイリー・ワーネットが選ぶ「ACG」名作スニーカー 25選!
グランド・プーバが愛用し、ストリートアイテムに
グランド・プーバはヒップホップ・アーティストで、1990年デビューの重鎮グループ「ブランド・ヌビアン」のフロントマン、マックスウェル・ディクソン氏のこと。彼は1990年代のステージでエアリバデルチを愛用。
当時の人気TV番組「イン・リヴィング・カラー」に出演のグランド・プーバ(1992年)。ファーストアルバム「リール・トゥ・リール」のプロモーションのため、USラップチャート1位に輝いたシングルカット曲「360 Degrees (What Goes Around)」をパフォーマンスしています。
ラルフローレンのマウンテンパーカーに、エアリバデルチを合わせた、90sアウトドアなコーディネートは今まさに新鮮です。
関連記事:ナイキ・プーバー(Nike Pooh-Bah)
SOPH.コラボバージョン
1990年代以降ナイキのカタログに登場することの無かったリバデルチですが、2008年にコラボモデルとして突如復活。
「SOPHNET.」「F.C.R.B.」「uniform experiment」の関西初のフラッグシップストアとして2008年3月、大阪市西区南堀江にオープンした「SOPH.OSAKA」を記念して復刻されたスペシャルモデル。
オリジナルカタログには無かったカラーバリエーション、「ホワイト」と「グレー」の2色がリリースされました。
ホワイトバージョンはアッパーにフルグレインレザーを使用。テニスシューズの定番色を落としこんでいます。
カンガルーレザーを使用した「グレー」バージョンは、配色に明度の異なるグレーを組み合せ、上品な大人スニーカーに仕上っています。
ショップオープンの記念アイテムとして、リバデルチと同じ配色のリバデルチ・ロゴTシャツ、2タイプが同時販売されました。
同年、オリジナルカラー・バージョンが登場
SOPH.とのコラボバージョンがリリースされた2008年。相次いでリバデルチの発売が開始。待望のオリジナルカラーが復刻登場しています。
アッパーにはスムースレザーやヌバック素材を使用。サイドのメッシュ部分にはハニカム状のリップストップ素材が採用されるなど、若干のアレンジが加えられています。
さらに同時リリースとして「グレー/ブラック」バージョンが登場。
オリジナル・リバデルチの中でも販売期間が短く希少性の高かったカラーリングが待望の復刻となりました。
飴色の革、タンレザー・バージョン
植物性タンニンなめしによる、タンレザー(ヌメ革)を使用したアップデートなリバデルチ。革そのものの風合いを楽しむ系の、革を育てる系の大人な一足。2008年秋冬コレクションとして限定リリースされました。
北米を拠点にスニーカーやシューズを販売するair-spaceさんのコレクションから。
アンダーカバー・バージョン
ナイキ・ギャクソウ(Nike GYAKUSOU)のデザイナーとしても知られる、高橋盾氏のブランド、アンダーカバー(Undercover)とのコラボレート・バージョン。カラーバリエーションは「グレー/ベージュ」「オリーブグリーン/赤」の2タイプ。美しいアンダーカバーの彩色で名作が復活。
店舗限定モデルとして、2010年10月にアンダーカバー・オンリーショップのみで販売されました。
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