「ゴム」という素材の発見 – バルカナイズの歴史

バルカナイズの歴史 もくじ

  1. 「ゴム」という素材の発見
  2. ニュートンと消しゴムとマッキントッシュ
  3. グッドイヤーの発見
  4. トーマス・ハンコックとバルカナイズ製法


バンズ オーセンティック(VANS Authentic)
バンズ オーセンティック(VANS Authentic) image from vans.com
バンズ(Vans)のスニーカーの中でもっとも古いデザインと言われる「オーセンティック(Authentic)」(1966年登場)。アッパーのキャンバス素材とソールのゴム部分の境目には、接着剤やステッチ(縫い目)などの接合部分はありません。素材同士がくっついて一体化しています。



バルカナイズ製法のスニーカー

コンバースのバスケットシューズ、オールスター(Converse All Stars)や、バンズ(Vans)のオーセンティック(VANS Authentic)など、「オールドタイプ」「クラシックタイプ」と呼ばれるスニーカーを雑誌やネットで見ていると、よく見る言葉に「バルカナイズ製法(ヴァルカナイズ製法)のスニーカー」というのがあります。

スニーカーの製造工程をさすと言葉ということですが、調べてみると「バルカナイズ製法」とは、ゴムに硫黄などを混ぜて、加熱加圧することで化学反応させ、ソール部分とアッパー部分を一体化させるというもので、ゴム底のシューズの製法としては、まだ接着剤の品質が良くなかった時代から用いられていた、ヨーロッパでは最も古い製法の一つと言われています。

さらに詳しく調べてみると「バルカナイズ」という言葉は、ゴム製品すべての製造工程に関係のある言葉で、バルカナイズの歴史は「ゴム」という素材の歴史そのものであるようです。



メソアメリカのゴムボール

人類が最初に「ゴム」を使用したという歴史は、メソアメリカという中米の古代文明圏にさかのぼります。

「メソアメリカ」とはメキシコ中央南半部からホンジュラス、ニカラグア、コスタリカなどを含む地域で、「オルメカ」「マヤ」「アステカ」など高度な古代文明が栄えた事でも知られています。

メソアメリカの地図(Map Of Mesoamerica)
メソアメリカの地図(Map Of Mesoamerica) image from wiki Mesoamerica

なかでも「ゴムの国の人々」を意味する「オルメカ」はアメリカ大陸最古の文明で、オルメカ人の祈りの場所、メキシコのエル・マナティ遺跡からは天然ゴムから作られたボールが出土しています。

このゴム製のボールは、紀元前1000年から1600年以前のものと考えられ、オルメカの人々はすでに、ゴムの木(パナマゴムノキ)の樹液「ラテックス」に朝顔の汁などを混合させることで天然ゴムの耐久性を高めることを知っていたようです。

オルメカのエル・マナティ遺跡のゴムボール(Olmec El manati Rubber Ball)
エル・マナティ遺跡から出土したゴムボール(Olmec El manati Rubber Ball)
Photograph by Kenneth Garrett image from nationalgeographic.com


また「マヤ」「アステカ」の遺跡には、球戯場跡や、球戯を描写した壁画、プレーヤーを型どった石像などが残っていることから、メソアメリカの各地ではゴムボールを使用した球技が頻繁に行われていたようです。

アステカ語で「トラチトリ」と呼ばれるこのゲームは、2つのチームに分かれ、プレーヤーは手は使わず腰を使ってゴムボールを打ちあうというもの。なるべく滞空時間を長く維持しつつ(バスケットボールのように)ゴールリングにボールを通すことで点が入り、地面につくことで失点する。

ゲームは他の地域から来た人たちと政治的な交渉をするために行われたり、ゴム製のボールは寺院へ捧げものとしての神聖な意味合いもあったようで、敗者は生贄になる(または王族など位の高い人間が生贄になったという仮説から、勝者が生贄になったという説もある)という、宗教の儀式として行われたりしたようです。

石製ゴールリング(Stone Ring at Ball Court)
石製ゴールリング(Stone Ring at Ball Court) image from archaeology.about.com
メキシコのマヤ文明の遺跡「チチェン・イッツァ」にあるボールコートの石製リング
(Stone Ring at Ball Court Maya Site of Chichén Itzá, Yucatan, Mexico)



コロンブス交換

1493年クリストファー・コロンブス率いるスペイン軍がアメリカ大陸に侵入し、エルナン・コルテスをはじめとするコンキスタドール(征服者)が新大陸に渡ったことで、当時栄えていたメソアメリカの文明「アステカ文明」「アンデス文明」は絶滅、「マヤ文明」は衰退していきます。(当時メソアメリカ最大の湖上都市だったアステカの首都テノチティトランはスペイン軍によって完全に破壊され、その廃墟の上にメキシコシティが建設された。またマヤ文明最後の都市タヤサルは1698年に陥落)

植民を進める中、先住の人たちへ奴隷化、虐待・殺戮を繰り返し、黄金・宝石を強奪し、ヨーロッパには無かった新種の作物などを持ち帰りました。

そもそも薬用としての飲み物だったチョコレートは、苦味を押さえるため砂糖を加えた事で嗜好品としてヨーロッパの富裕層に広まりました。また、観賞用として持ち帰ったトマトの種はイタリアで品種改良されてやがて食用に。そんな中に、中南米各地でスペイン人を驚かせたという、大きく弾む黒い玉「ゴムボール」がヨーロッパへ上陸する事になります。

歴史の上でにヨーロッパの人々がはじめてゴムという素材を知ったということで、コロンブスが持ち帰った「ゴムボール」は富裕層の間での珍しい交易品的な存在だったようです。航海の目的は金銀財宝のための領地開拓や東洋との貿易開拓であり、「物質としてのゴム」「ゴムという素材を何かに応用しよう」という自然科学的(または産業的な)な発想はその後200年以上先のことになります。

参考資料:
Wikipedia Mesoamerican rubber balls /Mesoamerican ballgame/Olmec/コロンブス交換
ナショナルジオグラフィック ニュース 「メソアメリカ文明の高度なゴム製造技術」



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  1. 「ゴム」という素材の発見
  2. ニュートンと消しゴムとマッキントッシュ
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