グッドイヤーの発見 – バルカナイズの歴史

バルカナイズの歴史 もくじ

  1. 「ゴム」という素材の発見
  2. ニュートンと消しゴムとマッキントッシュ
  3. グッドイヤーの発見
  4. トーマス・ハンコックとバルカナイズ製法

チャールズ・グッドイヤー(Charles Goodyear)

チャールズ・グッドイヤー(Charles Goodyear 1800 – 1860) image from wikipedia.org
チャールズ・グッドイヤーの死後(1912年)、P.A ヒーリー(P.A.Healy)によって描かれた肖像画

 
チャールズ・グッドイヤー

1820年代の終わり頃からアメリカのフィラディルフィアで金物店を営んでいた、コネチカット州出身のチャールズ・グッドイヤーは、店の経営悪化による多大な負債を「ゴム製品」の可能性にかけていました(グッドイヤーはいくつかの事業の失敗による多額の負債が原因で何度も投獄されました)。

当時、徐々に商品化されつつあった天然ゴム製品は、まだ不安定な物質で、「腐敗」や「粘着性」など多くの問題が多く、グッドイヤーはこの欠点を解決すれば勝算があると考えていました。

解決策として生ゴムに酸化マグネシウムや石灰などの「乾燥剤」を添加することで粘性を吸収し、劣化などの欠点を補えると考えてたグッドイヤーは「救命用具」や「靴」「衣料品」などの試作を開始し、実験を繰り返しますが、どれも完成品になるには至らず、さらに1837年にアメリカを襲った金融恐慌によって、グッドイヤーと彼の家族は経済的に困窮することになります。

 
世紀の発見

試行錯誤の結果、グッドイヤーは天然ゴムに「硫黄」を添加する方法にたどり着きました。そしてある事故によって偶然にも世紀の発見をすることになります。

1839年当時グッドイヤーと彼の家族はマサチューセッツ州ボストンの郊外、ウォーバンで経済的にかなり苦しい生活をしていました。その年の冬、研究中のグッドイヤーは硫黄を混ぜた天然ゴムを誤ってストーブの上に落としてしまいました※1

しかし、ストーブの上の天然ゴムは解けること無く、表面は黒く焼けこげ乾き、軟化していないことを確認しました。さらにしわがよった革のような質感となり、その理想的な弾性(力を加えても元に戻る)は、実験が成功したことを表していました。グッドイヤーは気温の影響を受けないゴムの製造に成功したのです※2

※1「ストーブの件」諸説あるようです。いくつかあげると。

  • ストーブを囲み、知人に「硫黄を添加した天然ゴム」の説明している際に、誤って落としてしまい黒こげになったかたまりに、知人は何のことか気が付かなかったが、グッドイヤーだけは世紀の発見に驚いたという記述。(Great Fortunes, and How They Were Made より)
  • ゴムの靴を履きながらの研究中、ゴム靴に硫黄がこぼれ、そのままストーブのそばで寝ていたら熱で靴がいい感じに弾性をもっていたという記述。(TOCOM ゴム取引の基礎知識より)


※2「エボナイト」とよばれるもの(黒檀(こくたん ebony)に似ていることから)。グッドイヤーの弟、ネルソン・グッドイヤーが製品化。1851年のロンドン万国博覧会に出品されました。

 
チャールズ・グッドイヤー(Charles Goodyear)

「インディア・ラバー・グッズの製造」チャールズ・グッドイヤー
(C.GOODYEAR Manufacture of India Rubber Goods) image from www.uakron.edu
1944年 チャールズ・グッドイヤーが所得したゴム製品製造工程の特許。

 
その後の研究でグッドイヤーは、約130度の熱で天然ゴムと硫黄を熱することで、耐溶解性の物質ができあがることがわかり、1844年に特許を取得します。

「発明の歴史は裁判の歴史」ともいわれるように、グッドイヤーも例外ではありませんでした。晩年のグッドイヤーは、30を越える特許侵害裁判に出廷する日々が続き、残念なことに彼自身がこの世紀の発明で成功することはなかったようです。

チャールズ・グッドイヤーは、南北戦争の起こる前年1860年に59歳の生涯を終えました。

グッドイヤーの死の38年後、1898年にアメリカ・オハイオ州アクロンにて自転車や馬車のタイヤの製造メーカーが誕生しました。社名は「ゴム製品の父」ともいえるチャールズ・グッドイヤーの功績を讃え「グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー」と命名されました※3

※3 チャールズ・グッドイヤー家とグッドイヤー社との間に血縁関係はありません。

 
参考資料:
Wikipedia Charles Goodyear/
bouncing-balls.com Charles Goodyear

 
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バルカナイズの歴史 もくじ

  1. 「ゴム」という素材の発見
  2. ニュートンと消しゴムとマッキントッシュ
  3. グッドイヤーの発見
  4. トーマス・ハンコックとバルカナイズ製法

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