マイケル・ジャクソンと LAギア

カリフォルニア発のスポーツメーカーLAギアは1989年、ブランドの顔として「キング・オブ・ポップ」の異名を持つトップアーティスト、マイケル・ジャクソン氏とシグネチャー契約を結んでいます。

当時誕生して10年となった「LAギア」（1979年創業）は、スポーツシューズ・メーカーとしては後続企業であり、ブランド強化と海外進出を目指していました。

新興のスポーツ用品メーカー、LAギアは数十億規模の市場を生み出せる大物を見つけようと必死になっていた。社長のロバート・グリーンバーグは共同創立者のサンディ・シーマンに「マイケル・ジャクソンを手に入れよう」と持ちかける。

実業家としてのマイケル氏の生涯を記したノンフィクション「MICHAEL JACKSON, INC. マイケル・ジャクソン帝国の栄光と転落、そして復活へ」（ザック・オマリー・グリーンバーグ：著、2014年出版）より。

海外でのマイケル人気はいまだに凄まじい。それはBADツアーで証明されているというのだ。マイケルのコンサートで400万枚のチケットが売れるなら、世界中で100万人が彼の宣伝するスニーカーを買っても何の不思議もない（BADツアーの半分以上は海外で行われた）。

ワールドツアーの初日は1987年9月12日、東京の後楽園球場でスタート。日本国内では加えて、西宮球場、横浜スタジアム、大阪球場にて計14公演。翌年1988年には再び日本でツアー、12月9日から東京ドームで9公演行っています。

しかし、アメリカ国内での当時の人気（特にタブロイド紙が連発した、マイケル氏に対するネガティブな記事による評判）を気にしたLAギア側は、リスク回避のため海外限定リリースを提案。

シーマンとグリーンバーグは交渉相手であるマイケルとブランカに「マイケル・ジャクソン・モデルは海外のみの販売になる」と説明した。

ところがマイケルはこれを拒否した。自分の名を冠したシューズを立ち上げるのなら規模も品質も（あのジョーダンよりも）最高のものでなければならないのだから、海外発売だけというのは問題外だ。

LAギアはその要求を呑んだ。共同でマイケル・ジャクソン・モデルのスニーカーを立ち上げて国内外で販売するという条件のもと、会社の年間広告費の5分の1を占める2000万ドルの契約金で商談は成立する。

当時のTVCMから

マイケルとシグネチャー契約を結んだLAギアは早速CMにマイケルの曲を起用しています。

1989年に放送されたLAギアのイメージTVCMより。
BGMには3ミリオンを記録したNO.1ヒットソング「ザ・ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール」を使用。ビジュアルはいわゆるLAギアの世界観（カリフォルニアのビーチとかもめ、水着の男女、蛍光色のアパレルとLAギアのバスケットシューズ）を展開。

一転してマイケル・シグネチャーのプロモーションではマイケルの世界観に寄せていきます。

マイケルの名を冠した新しいスニーカーの宣伝のため、シーマンはCMを製作する。新しいスニーカーを履いたキング・オブ・ポップが、蒸気が立ち込めた薄暗い通りでスピンを披露するというものだ。マイケルの顔が映るのは最後の3秒ほど、彼の不思議な力によって街灯が割れたあと、2階の窓からマイケルに微笑んで拍手を送る小さな女の子を見上げるシーンだけだ。

「MICHAEL JACKSON, INC.」より。

「拍手を送る小さな女の子」はマイケルの姪、ブランディ（ジャクソン家の長男ジャッキーの娘）。共演も当時話題になった1990年頃のCMです。

モノクロのビジュアルに真っ赤なブラウス。BGMもナレーションもテロップもなく、ダンスのシルエットが「まさにマイケル」をフィーチャー。世界観を作っています。

このPVでマイケルはライダースジャケットのようなレザースニーカーを着用。マイケル最大のヒット曲「Billie Jean」と名づけたシグネチャースニーカーです。

「ビリージーン」オリジナルモデル

ブラックレザーのハイカットモデル「ビリージーン」（Billie Jean）のオリジナルビンテージ。

アメリカ・ロサンゼルスを拠点にビンテージショップを運営するyoungandukraineさんのコレクションより。

1989年オリジナルビンテージ。
LAギア X マイケル・ジャクソン・ハイトップ・スニーカー。
ブラックレザー、ゴールド・スタッズと装飾、レースアップタイプ。

ダブル・ベルクロ・アンクルストラップ、ラバーソール。
軽いキズがありますが、全体的に状態は良好です。
レディースサイズ US8。

こちらはドイツのebayメンバー、durango_808さんのコレクションより。マイケルの「爪先立ちロゴ」がシュータンにプリントされているのが分かります。

ラバー製のアウトソールにも専用のデザインを採用。

「ギア」と「マイケルロゴ」がソール溝のデザインになっています。

金具部分、スタッズはシルバーカラーです。

「ビリージーン」オリジナル 箱有り、ブラック／シルバー。

こちらの「ビリージーン」は、箱有りの美品！スタッズ／バックルがシルバーカラーのバージョンです。

アメリカ・ミシガン州を拠点に、マーケット・サイト「Etsy」でビンテージアイテムを販売するVintageByJadeさんのコレクションから。

90年代初期のヴィンテージ、
マイケル・ジャクソン「ビリー・ジーン」モデル by LAギア。

仕様はブラック・ハイトップ、ベルクロ・バックル、シルバースタッズ。レディースサイズ US 10。

数回しか着用されなかったので、
非常に綺麗なコンディションです。

ホワイトの「ビリージーン」 オリジナル、未使用。

マイケル X LAギアの「ビリージーン」はブラックだけでなく、カラーバリエーション・モデルも同時にリリースされました。

こちらのホワイト／ゴールドバージョンは、1991年製の未使用モデル。

ドイツを拠点に素晴らしいビンテージアイテムの数々を販売するallucanwearさんのコレクションより。

こちらも1991年製のホワイト・ビリージーン。ピンクの箱も、シューズの状態も完璧です。

レアカラー「レッド」オリジナル。

日本国内で正規リリースされなかった希少カラー「レッド」。

オーストラリアを拠点にセレブ系アイテムを販売するStarwear Statusさんのコレクションより。

この「マイケル・ジャクソン X LAギア」は1991年に登場したモデル。
「レッド」は1990年代に発売された最も希少なカラー・エディションです。

マイケル・ジャクソンの名高いシグネチャー・スタンプと、
LAギアブランドのブランドロゴが施され

バックル付きベルクロ・クロージャーが2つ、
全面にあるスタッズ装飾が特徴です。

「ビリージーン」をフィーチャーした 当時の広告から

1990年発行の女性ファッション雑誌に掲載された、LAギアの広告から。全身LAギアのデニムファッションでコーディネートの女性は、モデル時代の若きミラ・ジョヴォヴィッチ。ホワイトの「ビリージーン」スニーカーを履いています。

「これからCMの撮影が始まります。マイケルさん待ちです」的な演出で、マイケルのチェアには、モノトーンのスニーカーが置かれています。

こちらは、3色の「ビリージーン」をフィーチャーした1990年頃の広告より。マイケルはシルエットで登場。

スタッズスニーカー「ビリージーン」の広告でありながら、マイケルが履いているスニーカーはチェアに置かれていたモノトーンスニーカーと同じモデル。

プロモーションのセオリーとしては「履かんのかい」と気になるところですが、このモデルは後述します。

広告文より。

さあ、始めよう！

「マイケル・ジャクソン」のシューズ。

LAギアから女性のための、
ホットなニュー・コレクションです。

史上初登場。
マイケルジャクソンがLAギアのためにデザインした、
スリル満点の新しいシューズです。

すべてのモデルにラバー・アウトソールを採用。
アーチが足を支え、ライニングはソフトな肌触りのナイロン製です。

ハイトップ・レザーシューズ「ビリージーン」は、
ホワイト、ブラック、レッドの3タイプ。

（写真はありませんが）
3/4カット・レザーシューズ「スムーズ・クリミナル」は、
ホワイト／ブラックの1タイプです。

「ビリージーン」はレディース、メンズ共に同じデザインでリリースされたスニーカーで、この広告はおそらく女性雑誌に掲載されたもの。

さりげなく新製品「スムーズ・クリミナル」の発売を予告しています。

「スムーズ・クリミナル」オリジナルモデル

バスケットボールシューズをベースにデザインされた、1990年代初頭の「スムーズ・クリミナル」モデル。広告で予告のあったホワイト／ブラックバージョンです。

ニューヨークを拠点に、マーケット・サイト「Etsy」でビンテージアイテムを販売するWest End Apparel & Marketingさんのコレクションから。

「スムーズ・クリミナル」モデルはアウトソールのデザインが「ペイズリー+サイケデリック」が特徴です。

「スムーズ・クリミナル」オリジナル 箱有り、デッドストック。

こちらは未使用で箱有りの美品。

アメリカのebayメンバー、digitalmama75さんのコレクションより。

商品タグや（靴ひもの結び方の）説明書などが綺麗に保存されています。

「バッド」

前出、「ビリージーン」の広告でありながら、別のスニーカーを履いていたマイケルの広告より。

マイケルが着用しているモノトーンのスニーカーはLAギアの「バッド」です。

「スリラー」に続くヒットアルバム「バッド」と、4ミリオンを記録した同名の表題曲から名付けられています。

マイケルTシャツを着たマイケル、 「バッド」をプロモーション

こちら、1990年にイギリスの音楽雑誌に掲載された、LAギアの広告でも「バッド」を着用。

同じくモノトーンの「バッド」です。

マイケル・ジャクソンのシグネチャーライン。

ファッション・アスレチック・フットウエア「LAギア」がお送りする、
ホットなスタイルとカラーリングが特徴の
「アンストッパブル」シリーズから登場です。

現在、イギリス全土で販売中です。

世界観にこだわり、かたくなに「衣装」にこだわったマイケル。この広告写真ではついに衣装を脱ぎ、「マイケルロゴのTシャツを着たマイケル」姿で登場。

コンサートのアンコール的な演出でヨーロッパのファンに大サービス。物販の購買意欲が高まります。

「バッド」オリジナル

ビンテージスニーカーのコレクター、1980cboyさんのコレクションより。

2つの広告でマイケルが履いていたものと同じモデルです。

箱有りで使用感の無い美品に加え、サイズもジャストという完璧なコレクションです。

アッパーは全てモノトーンですが、アウトソールのピボット・グリップ系の丸い溝と、LAギアロゴの真っ赤なさし色がアクセントになっています。

箱にはモデル名「バッド」の文字が。

カラーは「白・黒」、サイズはUS9、メイドイン・コリアと書かれています。

「ムーンロッカー・ハイ」

バスケットボールシューズをベースにしたフォルムとセメント系プリント。エアジョーダン3の影響が見られるハイカットモデル「ムーンロッカー・ハイ」。

オランダを拠点に、マーケットサイト「tictail」でビンテージスニーカーと90年代のストリートウエアを発売する「zoozoostore」さんのコレクションより。

未使用の美品。キッズサイズ19.5cm。

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