アディダス・グレンバック SPZL(スペツィアル)は、温故知新ライン「SPEZIAL」から、2018年春夏モデルとしてリリースされたレトロタイプの軽量ランニングシューズ。
歴史に埋もれたレアな「ウエブ」スニーカーをベースに、アップデートを施したハイブリッドな復刻モデルです。
アディダス・グレンバック SPZL 新作・新色コレクション(amazon)
モデル名不明の80sスニーカーを復刻し、 ビル・シャンクリー氏由来の地名を命名。
1988年にイギリスで発生したレイブ・ムーブメント「セカンド・サマー・オブ・ラブ」。
その誕生30周年を記念して、アディダスのスペシャルライン「SPEZIAL」では、2018年春夏のコレクションテーマとして、そこから派生したキーワードをモチーフとしてアパレルやシューズに落としこんでいます。
関連記事:[2018年 春夏モデル]:アディダス・スペツィアル(adidas Spezial)
今作「アディダス・グレンバック SPZL」のキーワードは「ウェブ・シューズ」「ビル・シャンクリー」「パステル・カラー」。
クラブDJが歴史に埋もれたレア音源を発掘し、新たな価値観を生み出すように、忘れ去られた1980年代のスニーカーに光を当て、リマスター、リミックス作業を行っています。
ベースになったスニーカーは、デザインを手掛けたアディダス・チームのゲイリー・アスプデン氏さえも「名前は分からない」という、1980年代のレアなランニングシューズ。
ミッドソールにクッショニングとして、ナイロン繊維の網の目を添加した「ウエブ」を搭載していることから、1980年代半ばにリリースされたものであることは判明しています。
復刻モデル名「グレンバック」の由来はスコットランド・イースト・エアシャーにある小さな村「Glenbuck」から。
グレンバック生まれのイングランド・サッカー界のレジェンド。リヴァプールFCを強豪チームへと育てた、ビル・シャンクリー監督にこのモデルを捧げています。
ゲイリー・アスプデン氏のインスタより。アディダスのトラックスーツを着用したビル・シャンクリー監督と、(ゲイリー氏の)旧友アンドリュー君のツーショット。
さらにそのヒントとして、シューズの内側にはビル・シャンクリー氏の誕生日(1913年9月2日)の数字が暗号のようにプリントされています(アディダスの公式サイトでは「ビル・シャンクリーの誕生日をライナーにプリント」と紹介していますが)。
ソールとアッパーの間の「へり」を再現
デザイナーのゲイリー・アスプデン氏によると、今回の復刻で特にこだわったのが、オーバーサイズのミッドソール。
靴のフォルムに対してあえて大きめなソールを接着することで、はみだした「へり」の部分が1980年代っぽい、というもの。
インタビューでは「唇」と同じ単語の「lip」と表現しています。
1:37あたりから「アディダス・グレンバック SPZL」の説明です。
私たちのアシッドハウス体験を語る時に、アディダスのランニングシューズの存在をなくして、そのストーリーを語るのは不可能です。
一晩中ダンスに出かけるためのシューズとしては、まさに最適だったからです。
このモデルは、おそらく1988年よりも前、1980年代半ばにリリースされたモデルだと思います。
そして特に、この靴について興味深いと思ったのは、ここの「へり」の部分。
今回の復刻ではこの部分を反映することができました。
この「へり」(lip)に関して、とても面白いストーリーがあります。
1980年代は「アディダス・オレゴン」や「アディダス・ウェブ」のような、「ウェブ」を搭載したシューズがたくさん誕生しました。
参照:「ウェブ搭載シューズ」
そういったモデルに、この「へり」があるのを時々見かけることがあるでしょう。
その理由は、アディダスが80年代に「グループ化」され、そのもとで靴を製造していたことによるもの。
多くの靴が異なる国のライセンスのもと作られ、製造プロセスのコストを節約するために、金型を最小限に絞りました。
「サイズ8」の金型を「7」と「7.5」と「8」に使用する、といったように。
その結果として、
あなたが「サイズ7」の靴を買った場合、ソールは「サイズ8」のものを採用しているため、こういう隙間となって、靴の端の周りに出っ張りができた、ということです。
この仕様が再現されたことは、いままでアーカイブ復刻されたシューズのなかで、一度も見たことがありません。
私はこのちょっとした「クセ」を再現してみたかったのです。
美観とコスト削減を両立させており、なにより本当に美しいと思います。
最終的には「サイズごとにアウトソールがハーフサイズ大きめになるように工場にお願いした」と別のインタビューでは語っています。
この「へり」ができたことによって結果的に、クッション・ウエブの繊維がミッドソールのサイド側だけでなく、ミッドソール全体を「包み込んでいる」構造になっているということを、この隙間から見ることができます。
それは、当時のストーリーを語る上で、ランニングシューズが重要な部分を占めているという、そのリアルな雰囲気を、この靴に与えていると思います。
1980年代「トルション」の配色を落とし込んだセカンドカラー
セカンドカラーは同時リリースのトレーニングシューズ「パディアム・SPZL」と同様に、トレンドカラー、ジェイド(ヒスイ)グリーンをフィーチャー。
さらに、ピンクやグレーなどの指し色は1980年代のランニングシューズからのサンプリングということです。
デザインチームのリーダー、ゲイリー・アスプデン氏のインタビューでは、少年の頃の自分を投影したという、このセカンドカラーを愛情を込めて「Bad Boy」と呼んでいます。
この「バッド・ボーイ」は、もうひとつのカラーバージョン。
私たちは2種類のカラーバリエーションでリリースしたいと決めていました。
こちらの配色のコンセプトとして、1980年代に発売された「トルション」的な様式美へオマージュを込めています。
参照:アディダス・トルション ZX 5020 C(1989年)
私が当時履いていた、レディース用のランニングシューズ「トルション ZX 5020」は、グレーのアッパーにピンクのストライプ、ミッドソールはブルーでした。
この靴にはこだわりを反映しています。
そしてこのモデルは、本コレクションの背景を語るストーリーテラーでもあります。
アディダス・グレンバック SPZL 新作・新色コレクション(amazon)
adidas Glenbuck SPZL (Clear Brown / Off White / Clear Granite)
アディダス公式より
過去のランナースタイルから着想を得た、クラシックな一足。
ストリートウェアの既存のコンセプトを一掃し、スポーツウェアに新たなアイデンティティを与えるアディダスSpezialコレクション。キュレーターの秘蔵コレクションの一足からヒントを得てデザイン。
軽量なテキスタイルを採用し、トゥとヒールにはスエードのオーバーレイを配している。弾力性のあるPUフォームで成型されたミッドソールが特徴。ビンテージデザインからインスピレーションを得た、網目模様で仕上げている。
アウトソールは細かいダイヤ柄。その中には幾つもの小さなトレフォイル(三つ葉)が型取られています。
adidas Glenbuck SPZL (Mist Jade / Icey Pink / Black)
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