目次
「刻んだ葉っぱ」色のスニーカー
「tobacco」という単語の意味。
Diffenというサイトの「Cigar vs Cigarette」という記事によると。
葉巻と煙草の大きな違い。
葉タバコ(leaf tobacco)で「tobacco」を巻いているのが「Cigar」。
紙(もしくは「tobacco」を含まない素材で)「tobacco」を包んでいるのが「Cigarette」。
整理すると、
葉巻(Cigar)と煙草(Cigarette)の中に入っているのが「tobacco」。
筒状になったものというより、中の「刻んだ葉っぱ」が「tobacco」ということです。
1970年代初頭、アディダスから全身「刻んだ葉っぱ」色をしたスニーカーが登場しています。
その名も「tobacco」です。
トレーニングシューズのフォルムをベースに、アッパーに茶系スエードを使用することで「カジュアル」なシューズにアレンジしたもの。
陸上競技やサッカーでメジャーなアディダスシューズを、デザートブーツなどと同じ感覚で普段履きを提案しています。
関連記事:アディダス・タバコ(adidas Tobacco)
ビンテージ・アディダスに詳しいスニーカーサイトeatmoreshoesでは、「タバコ」がアスリート向けではなくファッション市場に向けたモデルであると指摘しています。
極端に単純化されたフォルムと簡単な輪郭。それは典型的なレジャー用シューズでした。
「タバコ」はスポーツ目的ではなく、ファッションのために生まれたモデルです。
子供のスニーカーに「タバコ」という名前問題
では、スニーカーに「喫煙用の刻んだ葉っぱ」というミスマッチな名前問題です。
たとえば企画会議をするとして、これからリリースするスニーカーに「タバコ」と命名することは、ハードルが高いことではないでしょうか。
メンズ/レディース兼用のデザインだったとする。
家族でおそろいのシューズとして、キッズ展開も考えている。
いかにそれが全身茶色であったとしても「タバコ」という名前は難しい。
実際、アディダスは1970年代に「タバコ」という名前でレディースモデル、キッズサイズを展開しています。
当時のスポーツ誌から、「タバコ」はレジャーのイメージ ?
熱気球のフリーフライトと、70sファッションに身を包んだおしゃれなカップルがにっこり「一服」。
北米スポーツ週刊誌「スポーツ・イラストレイテッド」1972年2月21日号に掲載されたラークの広告です。
スポーツとレジャーとタバコ。
アディダス・タバコが発売された1972年のスポーツ誌の広告から、
当時の「タバコ」のイメージをふりかえります。
セーラムとアウトドア。
「清涼感はケミカルではなく天然メントール」というキャッチコピーと、キャンプのコーヒータイムでナチュラル感を演出。
「メンソールタバコと大自然」は頻度の高いプロモーションです。
自転車カップルと、こちらもセーラム。「ナチュラルにリフレッシュ」
こちらは雨上がりの湖畔のイメージ。クールマイルドと虹の彼方に
ビーチパーティーとフリーフライト。ラークの広告には真っ赤な熱気球が頻繁に登場します。
キャメル。「男性が1マイル(1.6km)歩くためのそれ相応の理由」
目の焦点を工夫するとビーチガールが3Dに。
喫煙への誘惑、「Start walking」はCMとして今なら完全NGです。
アームレスリングと「タバコ」。ウィンストンは「オールドファッション」な味をアピール。
ボーリング、1ゲーム終えて一服。
野球試合後のロッカールームで一服。
マルボロはカウボーイのイメージ。
バイスロイはF1マシンをスポンサード。
L&M。「今日は超忙しかったので、ようやくリラックスの一服」
ウィンターリゾートでのんびり一服。ウィンストンは「素朴な味」
オールドゴールド。人ごみから離れ、無人島で一服
レジャーシューズ「タバコ」と「島系」スニーカー
1970年代初頭アディダス社はカジュアルなスポーツカテゴリー「レジャーシューズ」をスタート。
「余暇に自然に触れ、運動不足を解消しましょう」というアディダスのプロモーションです。
その代表モデルとして「アディダス・タバコ」が登場します。
初期のレジャーシューズは「スエード素材 = カジュアル」のイメージ。
トレーニングシューズのフォルムはそのままに、スエード素材に置き換えることで「アスリート」から「カジュアル」へとアレンジ。「レジャーシューズ」としてリリースされます。
「アディダス・タバコ」と同時期にカラーバリエーションとして誕生したレジャーシューズが「タヒチ」と「トリニダード」。
また、テニスシューズをベースとした「ビーチ」「マイアミ」も登場しています。
さらに「ハワイ」など、派生モデルが続々誕生していきます。
島やリゾート地的なネーミングから、このグループは通称「島シリーズ」「アイランド・シリーズ」と呼ばれています。
関連ページ:アディダス「島」シリーズ 20選!
当時のカタログでは「タバコ」が同じスペースに掲載されることが多かったことから、イメージ的に「タバコ = 島系スニーカー」となっていきます。
「タバコは島の名前 ?」問題
「タバコ」のネーミングに関して、1980年代カジュアルズ文化の教科書「80s Casuals: The Fashion of an Urban 〜」に興味深い記述が。「タバコという名前の島」について触れています。
タバコ
アディダス・タバコは、レジャーシューズの「アイランド・シリーズ」に属したモデル。
「タバコ・ケイ」は南米ベリーズに属する島です。公用語は英語です。Tobacco
The Tobacco belonged to the island range of leisure shoes. Tobacco Caye being a part of Belize in South America. English being its official language.
しかし、これに関して、ビンテージ・アディダスに詳しいスニーカーサイトeatmoreshoesはひと言添えています。
最初にリリースされたのはアディダス・タバコでした。
実際にはメキシコ沖に「タバコ・ケイ」という島がありますが、タバコが「公式には」島シリーズの一部として分類されなかったことから、議論の余地があります。
Initially, the first shoe released was the adidas Tobacco. It wasn’t officially classed as part of the island range although there is in fact a Tobacco Caye off of Mexico, so that’s open to debate there.
関連ページ:アディダス 不朽の名作スニーカー 25選!
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