「スーパーグリップ」と「スーパースター」。「シェル」にまつわる関係。 – アディダスのカタログから

アディダス・スーパーグリップ(adidas supergrip)
アディダス・スーパーグリップ(adidas supergrip)
アディダス・スーパーグリップ(adidas supergrip)
アディダス・スーパーグリップ(adidas supergrip)image from adidas
(写真上)1960年代にリリースされた最初期のスーパーグリップ(supergrip)。
ほぼすでにスーパースターのデザインが完成されています。



アディダスを代表する人気スニーカー「スーパースター(superstar)」。そのデザインのルーツは1960年代初頭に誕生したコートシューズ「スーパーグリップ(supergrip)」であると言われています。

アスリート向けのトラックシューズメーカーだったアディダスが、レザーシューズの生産技術を(バスケットボールなどの)コート用シューズ作りに活かしたオールレザー(もしくは合成皮革)アッパーモデルが「スーパーグリップ」。

後に「スーパースター」へと名称変更され、さらに爪先にはラバー製のトウキャップ、通称「シェル」が採用され今に至る。という説が一般的なようです。

しかし、実際に当時のカタログを見ていると、両モデルが同じカタログに混在する時代もあり、さらに「シェル仕様のスーパーグリップ」もリリースされていたようで、「スーパーグリップ」と「スーパースター」との境目は、結構ざっくりしているようです。

アディダス・スーパースター(adidas superstar)
アディダス・スーパースター(adidas superstar)image from adidas
(写真上)バスケットボールシューズ「スーパースター」(写真は1970年代のもの)。
爪先には貝状のラバーパーツ「シェル」が採用されています。



バスケットボール・シューズ「スーパーグリップ」登場!
– 1968年/1969年のアディダスのカタログから。

adidas 1968-1969, Olympic Catalogue
1968-1969 adidas Basketball Shoes / Coaches/Officals Shoes image from adidas

1968年10月に行われた「メキシコシティ・オリンピック」を記念して発行された「アディダス・スポーツカタログ1968/1969年版」から、バスケットボール・カテゴリーのページです。

掲載シューズは上段左より「スーパーグリップ(Supergrip)」「プロモデル(Pro Model)」、下段右の「コーチ/オフィシャル(審判用)シューズ(adidas Coaches/Officials Shoe)」の3モデル。

下段左の「バスケット選手」のイメージは、1968年当時NBAサンディエゴ・ロケッツ(現ヒューストン・ロケッツ)でフォワードとして活躍したジョン・ブロック(John Block)です。

アディダス・スーパーグリップ
最も先進的なバスケットボール・シューズの登場です!

adidas Supergrip
The most advanced basketball shoe yet produced!


スーパーグリップは、バスケットボール・シューズの最新モデルとして掲載されています。

合成皮革素材「カンゴーラン(Cangoran)」をアッパー全面に使用したダービータイプ(外羽根式)のデザイン。サイド面にはモデル名「adidas SUPERGRIP」とプリントされています。

adidas 1968-1969, Olympic Catalogue
adidas supergrip image from adidas

さらに、ハイカットシューズ「プロモデル」の製品説明にはこう書かれています。

「スーパーグリップ」の優れたクオリティーを組み合わせたハイカットモデルです。革新的な足首パッドは快適さを保証。心地良いフィット感に加え、足首を保護する特別仕様です。

A high cut shoe combining all of the excellent qualties of the Supergrip model. Revolutionary new ankle padding insures comfortable, snug fit and extra ankle protection.


このカタログによると「スーパーグリップ」がバスケットボール・シューズのスタンダードモデル。「プロモデル」は「スーパーグリップ」のハイカット版として登場したモデルであると解釈できます。

さて、気になる爪先のデザインですが、「スーパーグリップ」「プロモデル」共に爪先は無地の「プレーントウ」仕様です。

Supergri, Pro Model
adidas supergrip image from adidas



「ラバー・トウ・キャップ」」仕様のスーパーグリップ登場。
– 1968年のアディダスのカタログから。

1968 adidas french catalogue
1968 adidas Basket-Ball image from adidas

1968年に発行されたフランス語版のアディダスのスポーツカタログから、バスケットボール・カテゴリーのページです。

掲載モデルは、上段右の「プロモデル(Promodel)」。下段左より「スーパーグリップ(Supergrip)」、「グリーンスター(Greenstar)」、「ブラックスター(Blackstar)」の全4モデルです。

前出のカタログ同様、このカタログでもバスケットボール・シューズのスタンダードモデルとして「スーパーグリップ」が、そのハイカットバージョンとして「プロモデル」が掲載されています。

(ニューモデルである、グリーンスエードの「グリーンスター」とブラックレザーの「ブラックスター」は「スーパーグリップ」のバリエーションモデルという位置づけでしょうか)

「スーパーグリップ」にはデザインの変化が見られます。「プレーントウ」だった爪先部分に保護用のパーツが登場。現在「シェル」と呼ばれるラバー製の「トウ・キャップ」です。

1968 adidas french catalogue
adidas supergrip image from adidas

「シェル仕様のアディダスシューズ誕生!」という、スニーカーの歴史では貴重なイラストですが、製品詳細には「爪先部分」の説明は特にありません。

(製品番号6255番)スーパーグリップ
非常に柔らかいレザーアッパー製。襟(履き口部分)の端にはパッドを、ヒールカウンターには「ソフトプロテクト・パッド」を採用。アウトソールは非常に耐久性が高く滑りにくいカップソール仕様です。

6255 SUPERGRIP
Tige en cuir très souple, bord de tige matelassé, SOFTPROTECT noir et remontant au talon, coupe derby, semelle cuvette très résistante et antidérapante.


ハイカットバージョン「プロモデル」にも同様に、ラバー製の「トウ・キャップ」が装備されています。

1968 adidas pro model
adidas pro model image from adidas

さらに、このカタログには、他のページ(他のスポーツカテゴリー)にも「スーパーグリップ」が登場しています。

1968 adidas french catalogue
1968 adidas 1968 adidas Handball / Volley-Ball image from adidas

写真は、同じく1968年のフランス版のアディダス・カタログから、ハンドボール、バレーボールカテゴリーのページ。

左より「シャモア(シャミー Chamois)」、「スーパーグリップ」、「ルビー(Rubis)」の3モデル。アディダスは、ハンドボールとバレーボールの兼用シューズとしても「スーパーグリップ」を提案しています。


「スーパースター」登場
– 1970年/1971年のアディダスのカタログから。

1970/1971, adidas Sports Catalogue in English
1970-1971 adidas Basketball Shoes image from adidas

(写真上)アディダスの英語圏向けスポーツカタログ 1970/1971年版、バスケットボール・シューズのページから。

掲載モデルは、カタログ上より「スーパースター(Superstar)」「スーパーグリップ(Supergrip)」「プロモデル(Pro Model)」「シューティングスター(Shooting Star)」の全4モデルです。

アディダス・スーパースター
世界的なベストプレイヤー達も着用。最上級のスムース・ホワイト・レザーを採用した、バスケットボール・シューズのニューモデルです。

adidas Superstar
Worn by the best basketball players in the World. The first really newly-developed basketball shoe made of the highest grade smooth white leather.


バスケットボール・カテゴリーの上位モデルとして「スーパースター」の登場です。

アッパーに白のレザーを使用したダービータイプ(外羽根式)。爪先部分を見るとラバー製「トウ・キャップ」があり、カタログにも「特別仕様のラバートウ・ピース(Special rubber toe piece.)」と仕様が記述されています。

まさに前カタログ掲載の「スーパーグリップ」のデザインを踏襲しています。

対する「スーパーグリップ」ですが、このカタログでは「ハイスクール/カレッジ向けのスペシャルモデル(A Special model for High School and Colleges.)」と若干カジュアルに紹介されています。前カタログにあった爪先部分の「トウ・キャップ」はこのカタログではありません。

「スーパースター」がアディダスの新しいスタンダードモデルとなり、「スーパーグリップ」は廉価版として名前が残った、というところでしょうか。

1970/1971, adidas Sports Catalogue in English
(写真上)「スーパースター」(上)と「スーパーグリップ」image from adidas

ちなみに(その下の)「プロモデル」。爪先のデザインは「トウ・キャップ」仕様ですが、前カタログ同様「スーパーグリップのハイカットモデル」と紹介されています。

さらに下の「シューティングスター」は、「(唯一の)ナイロン製エアネット・アッパーのバスケットボールシューズ」と新製品を紹介しています。

1970/1971, adidas Sports Catalogue in English
(写真上)「プロモデル」(上)と「シューティングスター」image from adidas


「アウトソール」の名称として「シェル」が登場。
– 1971年のアディダスのカタログから。

1971年,Sports Catalogue in English
1971 adidas Basketball Shoes image from adidas

(写真上)1971年に発行された英語版のアディダスのスポーツカタログから、バスケットボール・シューズのページです。

(製品番号116010番)スーパースター
現在最高のプロ選手、カレッジの選手が着用する、レザー製バスケットボール・シューズの驚くべきニューモデル。

116010 Superstar
The amazing new leather basketball shoe now worn by the best Pro and College players.


バスケットボール・カテゴリーの1ページ目では、ページ全面を使用し主力商品「スーパースター」を紹介。各パーツの性能を解説しています。

激しい「ストップ・アンド・ゴー」の繰り返しにも耐える、頑丈なラバー製「トウ・キャップ」。
Rugged rubber toe cap takes the abuse of stop and go movement.


非常に耐久性の高い「シェル・ソール」は、強度を上げ、靴の寿命をのばすために、アッパーに接着され縫い付けらています。

An unusually long wearing shell-sole is bonded and stitched to the uppers for more strength and greater traction for the life of the shoe.


このカタログでは、現在「トウ・キャップ」の通称でもある「シェル(shell)」という単語が、「アウトソール」の名称として登場しています。

1971 adidas Superstar
1971 adidas Superstar image from adidas


ちなみに現在アメリカのアディダスのサイトでは、スーパースター現行モデルの「爪先部分」と「アウトソール」の名称に関してはこういった表現が記述されています。

クラシックスタイルのラバー・シェル・トウ。
Rubber shell toe for classic style

アウトソールはグリップのためのヘリンボーン・パターン。
Herringbone-pattern outsole for grip


「その他のバスケットボール・シューズ」
– 1971年のアディダスのカタログから。

1971年,Sports Catalogue in English
1971 adidas Basketball Shoes image from adidas

写真上は前出のカタログ(1971年英語版)のバスケットボール・カテゴリーの2ページ目、「スーパースター」の次のページです。

(カタログ上段左から)「スーパーグリップ(Supergrip)」、「オフィシャル(Official)」。(下段左から)「グリーンスター(Greenstar)」、「プロモデル(Promodel)」、「シューティングスター(Shooting Star)」の全5モデル。

「スーパースター」のページと比べると、まさに「その他のバスケットボール・シューズ」という印象を受けます。

「スーパーグリップ」は「高校生、大学生用のバスケットボールシューズ」と紹介。「プロモデル」は、「ハイトップを好むプレーヤーのためのバスケットボールシューズ。」と、ふわっと表現していますが、爪先部分は「トウ・キャップ」仕様、「スーパーグリップ」ではなく「スーパースターのハイカットバージョン」であることをアピールしています。

「スーパースター」と「カリーム・アブドゥル・ジャバー」
– 1977年/1978年のアディダスの広告から。
Kareem Abdul-Jabbar
Kareem Abdul-Jabbar in Milwaukee Bucksimage from adidas
(写真上)ミルウォーキー・バックス時代のカリーム・アブドゥル・ジャバー。
アディダスのオールレザー・ローカットモデルを着用しています。


1970年代、アディダスのバスケットボールシューズは北米で黄金期を迎えます(1970年代半ばには、NBAの選手の75%以上がアディダスの主力モデル「スーパースター」を着用していた。という伝説が残っています。)。

1976年には、NBAのスタープレーヤー「カリーム・アブドゥル・ジャバー(Kareem Abdul-Jabbar)」と年間25000ドルの契約を結びます。アディダスとしては初のバスケットボール選手とのスポンサー契約でした。

Adidas Superstar II, Kareem Abdul Jabbar and adidas Cangoran
1977 Adidas ads.image from adidas
1977年の「アディダス・カンゴーラン(adidas Cangoran)」の広告。


(写真上)アディダスが開発した合成皮革「カンゴーラン(Cangoran)」の広告。カンガルーレザーに代わる新たな素材として誕生。(1960年代よりアッパーの素材として使用していたが、1976年正式に商標登録された。)

広告にはアブドゥル・ジャバーが登場。(当時短期間だけリリースされた)「スーパースター」のセカンドモデルをフィーチャーし「カンゴーラン」の特徴を解説しています。

またアブドゥル・ジャバーの別注モデルは「アディダス・アブドゥル・ジャバー(adidas Kareem Abdul-Jabbar)」としてリリース。アディダスを代表する人気シューズとなっていきます。

Abdul Jabbar White
1978 Adidas ads.image from adidas

1978年、アブドゥル・ジャバーのシグネチャーモデルがリリースされた当時の「アディダス」の広告です。

ハイカット、ローカットそれぞれ「ホワイトアッパーにブルーのストライプ」「ホワイトアッパーにナチュラルのストライプ」の2パターンづつリリースされました。

デザインのベースとなるのは「スーパースター」と「プロモデル」でしょう。しかし、爪先の部分には、それぞれラバー製「トウ・キャップ」はなく、代わりにスエードのトウガード「スエード・トウ・パッチ」が採用されています。

adidas Abdul Jabbar White
adidas Abdul Jabbar White
(写真上)「アブドゥル・ジャバー」ハイカットモデル(上)とローカットモデルimage from adidas

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