
adidas Haillet Smith (c.1974)
via adidas
1970年代に活躍したアメリカ出身のテニスプレーヤー、スタン・スミス氏のシグネチャーモデルにして、アディダスを代表するスニーカーの名作です。
アディダス・スタンスミス 新作・新色コレクション(amazon)
目次
スタン・スミス選手の公式シューズ

Stan Smith (1971)
via AP/latimes
1971年ニューヨーク・フォレストヒルズで開催された全米オープン決勝戦。
スタン・スミスの強烈なバックハンドが炸裂。
(全仏オープンで2連覇を達成した)チェコスロバキアのヤン・コデシュを破りました。
「いまだに不思議に思います」
小さな口ひげがトレードマークのスミス氏は語ります。
「靴を買うほとんどの人は、私が誰なのかさえ知らないのです」
「若い男の子や女の子が履いているし、子供がいる40歳の女性から、年配の男性まで履いているのには驚きます。」
「特にアジア、イギリス、スペイン、フランスでは非常に人気があります」
「人気の靴」とはアディダス・スタンスミスのこと。
テニス界のレジェンド、スタン・スミス(元)選手の公式モデルです。
スタン・スミス氏(Stanley Roger Smith 1946 – )はカリフォルニア州パサデナ生まれ。
1969年から1985年までプロテニス界で活躍した伝説のプレーヤーです。
4大大会優勝の記録を持ち(全豪オープン・ダブルス1勝、ウィンブルドン・シングルス1勝、全米オープン・シングルス2勝、ダブルス4勝)現役時代全試合で通算「100勝」(シングルス39勝、ダブルス61勝)の記録保持者です。

1972年ウィンブルドン、男子シングルス決勝戦。
スミス氏はルーマニアのイリ・ナスターゼ選手を破り初優勝を飾ります。
この試合でスミス氏はすでに「ハイレット」を着用しています。
via gettyimages
スミス氏は1972年、ウィンブルドンでは念願の初優勝を飾り、デビスカップではUSチームと共に「5連覇」を記録。

1972年デビスカップのスタン・スミス氏。
この試合でもすでに「ハイレット」を着用。
via gettyimages
そんな世界チャンピオンとブランド契約を提案したのが、アディダスの創業者、アディ・ダスラー氏の息子、ホルスト氏。
翌年の1973年、スミス氏とアディダス社はスポンサー契約を結びます。
試合等でスミス氏は、当時の定番モデル「アディダス・ハイレット」を着用。
のちに「スタンスミス」と改名されるテニスシューズの上位モデルです。
前身モデル「ハイレット」

アディダス・ハイレット
via adidas Catalog (1971)
1971年に北米で発行されたアディダス・カタログから。
115030「ハイレット」
世界最高のテニス選手が着用する、レザー製テニスシューズの最高級モデル。
きわめて軽量なアッパーはホワイトレザー製。
快適でやわらかな革は、履いた瞬間足の形に合わせます。
アディダス・ハイレットは1965年に誕生したテニスシューズ。
フランス出身のプロテニス選手、ロバート・ハイレット氏との共同開発で生まれたモデルです。
関連記事:ロバート・ハイレット(Robert Haillet)
当時のカタログを見ると、アディダスがトップモデルとして特に「ハイレット」を推していることがわかります。

adidas sports catalog (1971, USA & Canada)
via adidas
アディダス社はUSチームにシューズを提供。
USチームはデビスカップで「5連覇」を記録します。

デビスカップのアメリカ代表チーム
左から)スタン・スミス、ドナルド・デル、アーサー・アッシュ、ボブ・ラッツ
via adidas Catalog (1971)
さらにウィンブルドンで初優勝を飾ったスタン・スミス氏は「ハイレット」を着用。
アディダス社は「ハイレット」の新しい顔として、スミス氏とシグネチャー契約を結びます。
ハイレット・スミス

adidas Danish Catalogue (1976)
via adidas
1976年にデンマーク向けに発行されたアディダス・カタログから。
ハイレット
最高のパフォーマンスを誇るテニスシューズのトップモデル。
アッパーにはタンニンなめしを施した、極上のボックスカーフを使用。
モールド成形によるラバーソールには(グリップのための)何百もの小さな突起を搭載。
特製のパッドが踵とアキレス腱を保護します。
Haillet
Tennissko i topudførelse.
Overlæder i ekstra blødtgarvet box. Helstøbt gummisål med hundredvis af små knopper. Specialpolstring til beskyttelse af hæl og akillessene.
スミス氏と契約後にリリースされたハイレットには「STAN SMITH」の名前のプリントが追加。
広告やカタログでは「スタンスミス・ハイレット」「ハイレット・スミス」などと紹介され、このダブルネームの時代が1977年頃まで続きます。

L-R) Haillet (Smith), Nastase Tennis-sko, Newcombe 76
via adidas
髭のスミス、髭の無いスミス
ハイレット・スミス時代から「タン」部分に、スミス氏のの似顔絵とサインを図案化したロゴがプリントされるようになります。
最初期のロゴには「HAILLET」とスミス氏のサインが共存。似顔絵も現在のものとは異なります。

adidas Haillet Smith (c.1975)
via marcusmart/ebay
オールドコレクターの間では通称「おじさん顔」とよばれるバージョンですが、ウィンブルドン・チャンピオンとなった1972年頃のスミス氏をイラスト化したポートレートです。

Stan Smith Holding Winners Cup
(7/9/1972-Wimbledon, England)
via gettyimages
1978年モデル。「おじさん顔」はそのままですが「HAILLET」の文字が消え、変わりに「STAN SMITH」の文字が。

adidas Stan Smith (c.1978)
via highsnobiety
モデル名も「ハイレット・スミス」から「スタンスミス」へ変更です。
さらに、1979年頃にはロゴのデザインを一層。似顔絵もレイアウトもモデルチェンジ。
現在のロゴはこの頃のものをトレースしています。

adidas Stan Smith (c.1979-early80s)
via Tailored Consignment
ぴたっとした七三はふわっとしたショートカットに。眩しそうな顔にはトレードマークの髭がありません。
英ガーディアン誌のインタビューでスミス氏は「髭の無いロゴ」にふれています。
Stan Smith (the tennis player) returns to promote Stan Smith (the shoe) : The guardian
「私は22歳のときから口髭を生やしています」
スミス氏は語ります。「6か月ほど髭を剃っていた時期があるのです。あの『写真』はその時のものです」
確かに1977年から1978年にかけて髭の無いスミス氏の写真がいくつか残されています。

ロンドンのザ・ハーリンガム・クラブで作戦を練るUSチーム(1977年)
左から)パット・デュプレ、ジム・デラニー、ブルース・ライト、そして右端がスタン・スミス
via AP

ABNワールド世界テニス・トーナメントでのスタン・スミス氏(1978年)
via Henk Koster
またインタビューで「あの写真」(they took the photo)と語るように、アディダス社もこの時期のスミス氏をプロモーション用にいくつか撮影。

ATP アディダス・コレクションの広告(1978年)
「スタン・スミス:ATPメンバー
着用アイテム『ニース・シャツ』『ミラノ・ショーツ』」
via ATP adidas collection (1978)
特にATP公式ウエア広告の「眩しそうな」スミス氏の表情は、タンにプリントされたロゴの顔に酷似しています。

Stan Smith and his signature logo
via adidas
ベストセラースニーカー「スタンスミス」

adidas Stan Smith
via YouTube / LJMU
Trabs or trainers? Liverpool’s fashion counter culture : Liverpool John Moores University
アディダス・スタンスミス
アディダスのベストセラーデザイン。
ホワイトレザーのアッパーに靴ひも、というミニマリストなデザインが特徴的なトレーナー。
1971年に世界No.1に輝いた、アメリカ人テニス選手「スタンスミス」にちなんで名づけられました。1979年から1982年の間、イギリスでスタンスミスの売上げNo.1の都市はリバプール。
マンチェスターの3倍、そしてロンドンを遥かに凌ぐものでした。ロバート・ウェイドスミス氏によると「1週間に平均70〜80足が、150週連続で売れ続けた」と語っています。
フランス製 ビンテージ・オリジナル 「ハイレット・スミス」
アメリカ在住のebayメンバー、marcusmartさんのコレクションより。

adidas Haillet Smith Made in France (1970s)
via marcusmart/ebay
うっすら着用した感じは残っていますが、40年以上も昔のスニーカーとは思えないほど状態の良い美品。
「STAN SMITH」の文字もはっきりと残っています。

via marcusmart/ebay
製品説明欄には「1970年代製 ハイレット・スミス」と記載されていますが、
- サイドに「STAN SMITH」のプリント。やや太めのフォント
- ヒールパッチにはグリーンのベロア素材を使用。やや小さめ。
- タンには「HAILLET」表記。「髭のスミス氏」「メイドイン・フランス」のプリント。
ここから、1975年頃のバージョンであると推測します。
「HAILLET」の文字は1978年バージョンから無くなり、モデル名が「スタンスミス」となっていきます。

「髭のスミス氏」
via marcusmart/ebay
ヒールパッチは無地のベロア素材。
トレフォイル(三つ葉マーク)も「Stan Smith」のプリントも無い、初期バージョンです。

via marcusmart/ebay
箱有り! 美品。フランス製「ハイレット・スミス」
歴史的にも非常に貴重なビンテージスニーカー、ワークウエアを収集されているTommyさんのインスタより。
前出のハイレットスミスと同時期(1975年頃)のモデル。こちらは完全な未着用。箱の状態もダメージがほぼ無い奇跡のコレクションです。
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